ChatGPT のCode Interpreterが変えるかもしれない仕事

ChatGPT のCode Interpreterとは?

ChatGPTに「Code Interpreter」というサービスが利用可能となった。これまでテキストで質問、AIが回答するという使い方から、データを読み込んでグラフを返す、というようなより実務に近い処理が可能となった。

例えば、ChatGPTが得意としてきたテキストで何かを考えて出力するということに、pptxファイルを生成するという機能が追加されたことにより、テーマから資料作成という一連の作業の自動化が実現されるのである。

  1. ChatGPTにテーマを与える 例:Code Interpreterの使い方の説明
  2. 与えられたテーマからChatGPTが資料の骨子を考える
  3. ChatGPTが考えた資料の骨子に基づいて、ChatGPTが資料を作成する

この例でいえば、人間が行うのはテーマを与える部分だけ、あとはChatGPTが自動で作業を行うのである。
ChatGPTのCode Interpreterの使い方が紹介されているページはほかにも書かれているようなので、具体的な使い方のイメージはそちらも参考になると思われる。

ChatGPTのCode Interpreterが今後変えるかもしれない仕事

筆者がこれまで監査法人系のプロフェッショナルファームで勤務した経験、現在のSaaS Startupで勤務している経験を考慮すると、現状のChatGPTが今後数年以内に進化するであろう仮説に基づけば、3つの仕事を大きく変えるかもしれない。

コンサルティングファームの仕事がなくなる?

仮説にすぎないが、コンサルティングファームで行っている資料の作成などの一部の仕事さえ、今後置き換えられることになるかもしれない。例えばコンサルティングファームで行っている「報告書」や「定例会議」などの資料作成は、以下のような順番で実施する。

  1. 資料の目的や説明したいこと、解くべき論点(テーマ)を設定する
  2. これを説明するための仮説を検討し、ストーリを作る
  3. 様々なデータを集めることで仮説の検証を行う
  4. 仮説の検証結果を踏まえてストーリをアップデートする
  5. 資料としてアウトプットする

これらをコンサルタントの役割に応じて分類していくと、①、④など資料の骨子の作成に関する部分はプロジェクトの上位層が、②、③などのより詳細な部分はマネージャーレベルが、③、⑤などのより詳細な部分はジュニアレベルが担うことが多い。

現状ChatGPTはまだまだであるものの、「Webに存在するあらゆる情報をインプットとして利用可能」になり、これを「資料としてアウトプットする」ということの精度が向上する瞬間は目の前に迫っており、ジュニアスタッフレベルの仕事までAIに置き換わってしまう日もそう遠くはないように思われる。

コンサルタントとしての価値は今後「考える」から「情報収集」になるのか?

コンサルタントの仕事は、「考えること」が90%で、10%が調べたり、資料をまとめたりする仕事である。(ただしこの仕事の割合は、コンサルタントとしてのチームの中での役割に応じて変わる。)

本質的には「考える」仕事はなくならない。つまり、顧客が求める最高のアウトプットが何かを真に探求していく営み自体に価値がある。とはいえ、この営み自体がアプリケーションとプロンプトの高度化により実装されてしまった場合には、顧客の悩みを聞き出し、解決策の仮説を検討することがAIにできてしまう日が来る可能性はある。

一方でAIが及ばない分野がある。それは「考える」ことではなくインプットを取りに行くことだ。AIは仮想世界の存在であり、リアルな世界をインプットすることはできない(Eagle eyeの世界のように、すべてのIoTデバイスが接続された世界であれば別だが・・・)。そのため顧客と話し、顧客が気づいていない課題を導き出すことや、現場を見に行ってそこに漂う不穏な人間関係の雰囲気を感じ取ることはできない。Webにある公開情報を整理するだけのコンサルタントは淘汰されるだろう。

AIが人間に近づいている今、もしかするとより「人間にしかできない」と思っていることがAIには容易であり、バーチャル世界とリアルな世界をつなぐ接点にしか人間の価値がなくなる日も近いのかもしれない。

監査という仕事は確実に変わる

監査という仕事はあまりなじみがないかもしれないが、公認会計士が行っている財務諸表に関する監査や、セキュリティに関する監査など、何かの基準に照らして現在の状態がどうであるかを評価する業務である。

これが現状、単純なチェックリストとして機能しえないのは、監査対象の営みは往々にして複雑であり、チェックリスト的なものに落とし込むまでの作業に定性的な作業が含まれるためである。

監査の仕事で肝となる部分は、複雑な世界を深く理解し、監査可能な状態に整理することであるが、実はこの後の「評価を行う」という部分の作業は膨大であり、膨大な資料の関連性を把握したうえでチェック作業を行わなければならない

この部分は大きく変わると思われる。インプットさえあればそれらの関連性を整理し、自然言語処理に基づいて結果をアウトプットするという現状の機能が強化されれば、現在人が行っている作業の大部分はChatGPTが担うことになる日も遠くはないように思われる。

この記事の著者

筆者 10日間で基本情報技術者に合格経験あり

ピザまん

元コンサルでセキュリティ専門家

東大理系のとある学部を卒業後、2-3年ほどメガベンチャーにて新規事業の推進に携わる。 キャリアの底上げをと、BIG4に転職。技術的なセキュリティというよりは、運用面でのセキュリティ対策を中心として支援を実施。「支援側」でいるより「実行側」にいたいという思いからStartupに転職。 現在はセキュリティ方針の策定や事業推進が両軸のアラサー。 セキュリティとガジェットが好き。

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